(写真:大阪市の江戸堀、2020年3月撮影)
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前回のブログ記事で、日本の住宅は欧米先進国と比較すると、新築が多く、中古住宅の流通は著しく低調であるデータを示した。
この現象の原因を一言で表現すると「使い捨て」だと考えられる。「使い捨て」とは、使い捨てライター、使い捨てコップ、使い捨ておしぼりなど、一度使用したら、洗濯、清掃、修理、変更を行わず、廃棄する。空き缶やペットボトルなどは、一度使用して、廃棄されるが、その廃棄量は膨大である。
実は、建物を解体する際に出る廃棄物は、一般に知られていないが、環境負荷がなによりも最も高い。写真は、本日私が大阪市西区江戸堀で見た光景である。小さい土地で解体作業が行われていた。重機が鉄骨を壊してトラックに積むが、この廃棄物を一体どのように処理するのだろうか?
鉄筋コンクリート建物は、100年から200年もつと言われている。鉄はさびるので、建物の寿命はある。しかし、コンクリートにクラックが入ったときに、クラックを修理する作業を細目にしていれば、建物はまだまだ使うことができる。それなのに、この建物は全部解体されていた。
ここで、「使い捨て」の意味をさらに深く考えてみたい。車でガソリンを使って排気ガスを出すのは、石油という地下資源を燃やして、二酸化炭素を大気中に廃棄するということである。二酸化炭素は、再び戻って石油になることはない。循環していない。これを「使い捨て」という行為で、これを「公害」という。
私は最近、大阪市福島区の現在売り出し中の新築住宅と中古住宅の価格を、地価公示と建物の減価償却をエクセルで分析した。その結果分かったことは、新築の方が、中古よりも、減価償却分を含めると、若干割安であった。
使い捨てライター、使い捨てコップ、使い捨ておしぼりが安いのと同様に、使い捨て住宅は、安くできる構造をもっている。大量生産、大量消費によって、工場で安価な建材を製造を可能にして、熟練した大工でなくても施工が可能にしてコストを抑えることができる。
その安い原価で大量販売することで、景気を刺激することができる。生産者と消費者と景気経済は、恩恵を受ける一方で、人間と社会の環境負荷が増大する。日本の住宅は、「使い捨て」であり、環境に最悪の政策である。
不動産事業者は、この事を理解した上で、戦略を考えるべきである。