日本の建物の資産価値はゼロ

By 2021年1月24日日本の住宅

日本の木造住宅の建物は、30年で価値がゼロになります。いやゼロではなく、建物の解体費用が500万円かかるため、建物の価値はマイナス500万円となり、土地だけの価値が残ります。リフォーム工事を加えても、マイナス500万円の価値は変わりません。

新築の木造戸建てでも新築マンションでも、買った瞬間に価格は20%下がります。新築の価格は市場価格ではなく、デベロッパーが決めた価格だからです。購入した翌日から新築は中古になりますから、不動産市場の競争の中で価格が決定されるため、購入価格×80%になります。以後、日本では建物の価格はどんどん下落します。

リフォームに何百万円ものお金をかけても、価値がゼロのままのため、所有者が自分の建物にリフォームの投資をする動機はしぼんでしまいます。そのため、日本ではDIYが普及しません。そして、DIYをするための商品を豊富に取り揃えているホームセンターが成立できません。建物の価値は、単純に「築年数」だけで計算されています。日本の不動産鑑定評価基準は、日本の不動産市場を大きく歪めていると思います。また、不動産鑑定を支える適正なインスペクションが重要ですがありません。そして、住宅設備を更新した事を示す法的な証明書もありません。

中古住宅を3000万円で購入して、10年間住んで、リフォームを200万円で行って、10年後に3200万円で売却できるアメリカの不動産市場では、所有者は住宅に充てる金額はゼロになります。一方日本では、3000万円の新築住宅の建物の価値がゼロになると、1回引っ越しをする毎に、3000万円の出費が発生し、一生の内に3回引っ越しをする場合は、3000万円×3回=9000万円の出費となります。住宅の出費がゼロの国と、住宅の出費が9000万円の国では、家計を圧迫するレベルが全く違います。

世界各国には、その国の住宅政策があります。日本の住宅政策の基本に、「使い捨て」を良いとする思想が流れていると思います。国家の住宅政策が、法律を規定し、鑑定評価が歪められ、その結果、中古住宅のDIYが締め出され、実際に住宅はますます貧しくなるので、鑑定評価が再び下がり、遂に日本の建物の価値は、ゼロ以下になってしまいました。

現在の日本は、金利が非常に低く、利息だけで老後を過ごすことができません。これは日本国民が不安を感じる原因だと思います。不動産の建物が資産になるかならないかは、日本の重要な政治課題と捉えるべきだと思います。日本の住宅が資産にならないのはなぜか、これから分析して明らかにして行きたいと思います。